2009


TITLE: 喰らわば喰らえ 毒の皿まで

DATE: 2009/04/21 00:04

眼(まなこ)から 零れ落ちる激情を
掌に掬い集めて 喰らうのだ
我が切っ先は 必ずお前を殺すだろう

損ない 溢れて零れた哀切を
掌に拾い集めて 啜るのだ
我が言ノ葉は 必ずお前を呪うだろう

屠られよ
この卑しき獣に墜ちた 牙により 爪により

醜き唸り声を上げ
穢れることさえ厭わずに
ただ一心にお前を平らげよう

嗚呼
冷めた血潮の不味いこと
褪めた血潮の無駄なこと




TITLE: そうして いつか忘れ去って

DATE: 2009/06/02 06:19

許しを請うつもりはないよ

恨めばいいし
憎んでもいいし
呪ったっていい

いっそ罵倒で心を塗り潰せ
悲しみの入る隙間が無いように
哀れみの入る隙間が無いように




TITLE: この場所こそが 私の墓場

DATE: 2009/06/02 06:20

遥か彼方を望んだ時に
足元に横たわるのは デッドライン

越えてはいけない境界線
背いてはいけない絶対律

先を求めて踏み出せば、たちまち奈落へ落ちるだろう
"輝けるその日"に続く道は無い

踏み出せない終焉の地
抗えない終演の幕




TITLE: 隠れる真実

DATE: 2009/06/02 06:26

轟々と 行き交う罵声の最果てに
ほんのひとかけ 憐憫が
しづしづと芽吹いて綻んだ

濡らすのは泪雨
深く 深く 強く 強く

いずれ流され 藻屑と消える
眇眇(びょうびょう)とした花弁は 鮮やかなまま




TITLE: 物好きなマゾヒスト

DATE: 2009/06/02 06:37

苦しい 苦しい と言っては
飽かずに足掻き
辛い 辛い と言っては
飽かずに求む

そんなにも痛いのなら
全て諦めてしまえば良いのに
そんなにも傷むのなら
全て棄ててしまえば良いのに

不幸を消す
一番の方法を 知っていながら
執拗に固執する

重いと 知っているのに
苦いと 知っているのに




TITLE: no title

DATE: 2009/06/03 08:58

贖罪を 求めてなんかいないよ
汚れたままでも 穢れたままでも
私は息が 出来るもの

無垢ではなくとも 声は上げられる
純潔ではなくとも 抗議は出来る

免罪を 求めてなんかいないよ
罪深いままでも 枷がついたままでも
私は心を 動かせる




TITLE: no title

DATE: 2009/06/08 06:11

聞く者はいない
見る者はいない
誰一人
何一つ
そこには自分だけ

悲嘆に暮れる姿も
苦悶に呻く声も
気の狂れた哄笑も

誰にも届かず
何にも響かず
ただ 消費されて終わる




TITLE: 生まれる毒

DATE: 2009/07/07 01:28

指先からさらさらと
唇からほろほろと
髪の毛の先からじわじわと

蝕むよ
誰も彼も
無感情に

君の悲鳴も
君の罵声も
君の懇願も
全部黙殺して

歪んでいく君を
愉悦するでもなくただ眺める

君なんて要らないし
そもそも居ないんだよ
僕の世界に




TITLE: 赦されたものがあるなら それに歓喜し喜んで死ね

DATE: 2009/08/09 19:39

満たされないまま
癒されないまま
掬われないまま
「調子に乗るな」と鬼が嗤う
『先』なんてものは無い
何処にも何にも

「お前に赦されたのは終わることだけ」
しがみつけないのなら
すがりつけないのなら
たやすく手放すつもりなら
手を伸ばしてはいけない
触れてはいけない

与えられた恩赦を噛みしめて逝け




TITLE: あなたがもう二度と 苦しまなくて済むように

DATE: 2009/11/01 22:49

あらん限りの慈悲と愛情を込めて
死ねばいいのよ、と微笑み囁く

繋ぎ止めようとすればするほど
掴もうとすればするほど
それは指の隙間から するすると零れ落ちていく
まるで鮮やかに とても軽やかに

繋ぎ止めたい意志すらも
流れていくから
私は一人 虚ろに嗤う

だって逃げていくのよ
表面を横滑りして 私の手の内から

苦しいなら
耐えることなく絶えてしまえばいいよ
こじらせたら 木偶になってしまうもの




TITLE: せめてもの慈悲を乞うよ

DATE: 2009/11/16 01:21

抉って 抉って 抉って
零れる涙も
歪む景色も
全部要らないから

何一つ許さないで
私に何も許さないで

存在していることすら 断罪して


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